時報回路の製作
【連載記事】ニキシー管時計をつくる(その1)では、ニキシー管時計の仕様と回路構成、プロトタイプ機の動作の様子を紹介した。その2では、ニキシー管時計に搭載する時報回路を試作したのでその回路図と実際の動作の様子を紹介する。また、試作の過程で明らかになった問題についても末尾で紹介する。
1. 回路図
過去記事の「Melody IC SVM7960 Seriesの動作回路(2020.5.15)」を参考にしながら時報回路をプリント基板で試作した。上の写真はその回路図である。23時59分から0時0分に変わるタイミングで24進カウンタから発生するリセットパルスをトリガーとしてメロディICが動作する仕組みにした。回路図左側の「C.O.」からその信号が来る。
2. プリント基板での試作
以下に製作した時報回路の実装後の外観写真を掲載する。時報にはSVM7963C0Tを使用した。SVM7960シリーズのメロディ再生タイミングは、再生信号を入力している間だけメロディが流れる「DC Level-hold」タイプと、パルス入力で1曲分のメロディが流れる「DC One-shot」の2種類があるようだ。
今回は24進カウンターのリセットパルス(ワンパルス)をメロディの再生信号とするので、「DC One-shot」タイプのSVM7960シリーズを使った。これにより、リセットパルスのワンショットによってメロディが流れる仕組みになっている。
3. 動作確認
以下に試作した時報回路の動作状況を示す。電源スイッチをオンにし、メロディICに再生信号となるパルスを入力することで問題なくメロディが流れることを確認した。動画では紹介していないがDIPスイッチを切り替えることで4種類のメロディを選択できることも確認できた。
4. 発生した問題
時報回路単体では問題なく動作することが確認できたが、24進カウンターからの入力パルスではメロディが流れない不具合が発生した。問題解決を図るべく、カウンター回路からのパルス信号をデジタルオシロスコープ「Quimat 15001」で確認した。その画像を以下に示す。
カウンター回路からのパルス信号の電圧が低下しているのでは?という懸念もあったが、電圧は5Vきちんと出力されていて問題なかった。なぜこれでメロディが流れないのだろう。様々な可能性を考えてみたが、ようやく答えにたどり着いた。
以下にSVM7960シリーズの仕様書の抜粋を示す。「DC One-shot」を使うSVM7960では、再生信号のパルスが t>15.6ms でなければならないという仕様を見つけた。計測した入力パルスは t≒10μs程度なので、とても使用を満足できる時間ではない。どうしよう・・・。
5. 反省と今後
時報回路はカウンター回路からの信号を入力すれば問題なく動作するはずだから、本製作の前に改めて試作する必要はないだろうとたかを括っていたが、そんなことはなかった。試作したからこそ見えてきた不具合があった。再生信号のパルスが15.6msに満たない問題については今後も継続して解決に取り組んでいきたい。(間にフリップフロップを入れようかしら・・・)
2021.8.3追記
つまるところ、上図のような出力が得られる回路が欲しい。インターネットで調べると単安定マルチバイブレータを使えば、入力パルスに対して任意のパルス幅が出力で得られることがわかった。以下のサイトを参考にさせて頂いた。カウンター回路からのパルスを単安定マルチバイブレータに入れてやや幅広のパルスにすれば解決しそうだ。74HC123に2回路入っているらしいので、さっそく共立エレショップで注文した。届くのが楽しみだ。
(参考文献) Kunihiko IMAI, 日記/2015-12-17/単安定マルチバイブレータ, http://jr0bak.homelinux.net/~imai/pukiwiki/pukiwiki.php?%C6%FC%B5%AD%2F2015-12-17%2F%C3%B1%B0%C2%C4%EA%A5%DE%A5%EB%A5%C1%A5%D0%A5%A4%A5%D6%A5%EC%A1%BC%A5%BFIC
新型コロナウィルスの蔓延で居酒屋に行くこともできないため、東京オリンピックの開会式は妻と一緒にバルコニーでお酒を飲みながら楽しく視聴した。先日から続いていたゲリラ豪雨もなく、やや湿気を帯びた夜風が心地よい7月の夜だった。開会式前日に急いで置いたIKEAのガーデンチェア・テーブルが大いに活躍してくれた。 買い物とは、買うものを決めてただそれを買って帰るだけだった自分にとって、買い物中に妻から「これ欲しい」と言われると「そんなのいる?」と返してしまいがちだった。IKEAのガーデンチェア・テーブルも多分に漏れずそうだった。 それを買わなかったらクーラーの効いたリビングでソファに座りながらただ眺めるだけであったであろう東京オリンピックの開会式。一生に一度あるかないかの自国開催のオリンピックは、妻のアドバイスで一生忘れられないで楽しい夏の思い出になった。