記事の概要
ニキシー管時計のアラームにちょうど良いメロディはないかと探していたら、メロディICというノスタルジックなICがあることを発見。すでに生産が終了しているものが多いらしいが、運良くヤフオクで入手した。データシートを見ながら回路を組み立てて動かしてみた。
使用したメロディICはセイコーエプソン製メロディICの「SVM7962C0N」である。SVM7960シリーズのひとつということだが、いくつかシリーズがあるらしい。wikipediaが詳しいのでシリーズの違いなどは参考にされたい。YouTubeなどで再生音声を聞くと昔どこかで聞いたことがあるメロディが多く、病院の出入り口とか目覚まし時計で聞いたことがあるような。ニキシー管時計にピッタリである。
参考資料
SVM7960シリーズの発売は1980年代のためインターネット上での情報が意外と少ない。駅のチャイムなど鉄道関係で使われている例があるらしく、その筋の愛好家がYouTubeにサンプルをアップロードしている意外はほとんど情報がない。データシート含めてかろうじて見つかった関連情報を下記にまとめておく。シリーズが違うICも参考になると考えて記載した。
- RLC, メロディICの使い方, SVM7975 http://www.rlc.gr.jp/prototype/melody/melody.htm
- SVM7960 Series Datasheet, DATASHEET ARCHIVE, https://www.datasheetarchive.com/SVM7960C-datasheet.html
- farewell5300, EPSON Melody IC SVM7962C0N – SVM7960 series, YouTube, https://www.youtube.com/watch?v=c4CW36r3fSo
準備
以下が使用した部品の一覧。電子部品以外に006P用(9V角形乾電池)の電池ボックス、ブレッドボードを使用。
部品 | 型式 | 規格 | 数量 | 備考 |
---|---|---|---|---|
メロディIC | SVM7962C0N | DIP16 | 1 | 生産終了品 |
セラミックコンデンサ | – | 0.1μF | 1 | |
トランジスタ | NPN型 | 2SC1815 GR | 1 | |
トランジスタ | PNP型 | 2SA1015 GR | 1 | |
抵抗 | 炭素被膜抵抗 1/4W | 510kΩ | 1 | |
抵抗 | 炭素皮膜抵抗 1/4W | 100kΩ | 3 | |
半固定抵抗 | – | 1MΩ | 1 | |
半固定抵抗 | – | 100kΩ | 1 | |
電解コンデンサ | 25V耐圧 | 4.7μF | 2 | |
電解コンデンサ | 25V耐圧 | 100μF | 1 | |
スピーカー | – | 8Ω | 1 | |
DIPスイッチ | 4列 | – | 1 | |
タクトスイッチ | – | – | 1 | |
3端子レギュレータ | 出力5V | 7805 | 1 | 電源用 |
積層セラミックコンデンサ | – | 0.1μF | 2 | 電源用 |
回路図

お詫びと訂正: 13〜9ピンの接続が間違っていたため正しい回路図に修正致しました。(2020.9.5)
ブレッドボード

動作
解説
動作はSW1がONの状態でメロディが流れ、OFFで止まる。トリガー信号による動作ではなく、押している間のみメロディが流れ続ける(時計のチャイムとして使いたいので本当はトリガー動作がよかった・・・)。12ピンに入る100kΩの半固定抵抗(VR2)はスピーカー音量、1-2ピン間の1MΩの半固定抵抗(VR1)はメロディのトーン調整である。データシートによれば、5Vで動作させている場合はVR1=820kΩが推奨されているので、VR1は比較的高めが良い。
また、SW2とSW3の組み合わせによって下表の4曲が選曲される。SVM7960シリーズでピンアサインが同じあれば、ICの置き換えだけで様々な曲を流すことができると思われる。
SW2 | SW3 | Melody |
---|---|---|
OFF | OFF | Je Te Veux |
OFF | ON | Shabondama |
ON | OFF | Chime3 |
ON | ON | Chime2 |
当初、データシートのサンプル回路をベースとして組み立てたがなぜか動作しなかった。参考文献を参考に、2SA1015と2SC1815のコレクタにスピーカーを繋げて上記の回路を組み立てたところ、正常に動作した。3と7ピンが空いていてモヤモヤするが、今のところ動作に問題はない。SVM7962C0Nは1.5Vと5Vのいずれでも動作するので、今回の回路は3端子レギュレータ(7805)を使って5Vで動作させた。DIPスイッチは4列を使用したが、2列しか使わないため2列のDIPスイッチでも良い。ブレッドボード下段のLEDとトランジスタ は7ピンから出力されるBUSY信号を使ったICの動作確認用のLEDであり、回路図には記載していない。
SW1がONの間だけ動作する挙動はデータシート「TIMING CHART」の「DC Level-hold」に該当すると思われる。SVM7960シリーズでもモデルによって”Level hold”か”One shot”が変わるようである。また、接尾辞によって7ピンから出力される信号がBUSYかENDに変わるようであるが、詳しい型番等は不明である。モデルの接尾辞を変えてインターネット検索したがヒットせず。仕様はあるがほとんど流通しなかったのかもしれない。
実装
ブレッドボードでの動作確認の結果、上の回路で無事問題なく動作することが確認できた。本当はニキシー管時計に組み込む予定なので時計ができるまで実装する計画はなかったが、ノスタルジックなメロディが思いのほか心地よく、いつでも聴けるようにSVM7960シリーズメロディIC専用の再生機を作って今回の試みは終了とした。
スピーカー、電源スイッチ、スタートスイッチ、電源LED、動作中LED(BUSY)とメロディー選択用のロータリーDIPスイッチをパネルに実装。音量とメロディトーンは基板上の半固定抵抗をドライバで回して調整できるようにパネルに穴を開けた。また、ICの取り付け部はゼロプレッシャーソケットを使い、簡単にメロディICを取り替えられるようにした。今回取り上げたSVM7963C0NのほかにSVM7963C0T、SVM7963C0Aの同じ7960シリーズで問題なく動作することを確認。


ニキシー管時計に実装するのが楽しみです。
参考資料
- 今市工業高校 電気科3年 授業レポート, http://www.tochigi-edu.ed.jp/imaichikogyo/nc2/?action=common_download_main&upload_id=2186
- RLC, http://www.rlc.gr.jp/prototype/melody/melody.htm
- SVM7960 Series Datasheet, https://www.datasheetarchive.com/SVM7960C-datasheet.html, DATASHEET ARCHIVE
いずれも2020.5.15参照。