【連載記事】ニキシー管時計をつくる(その1)

ニキシー管時計をつくる

ニキシー管時計の製作はこのブログを立ち上げた理由のひとつである。ようやく本製作の目処が立ったのでその過程を連載記事で掲載開始することにした。

ここでは、ニキシー管の中でもまだ比較的入手しやすいロシア製のIN-8(ロシア文字では「ИН-8」と表記するらしい)を使った時計を製作する。構想から足掛け数年、必要となる回路の設計・試作を重ねようやくプロトタイプ機が完成した。本記事ではニキシー管時計のコンセプトと基本構成、プロトタイプの紹介を行う。

1. こだわりたい点

インターネットで検索すればニキシー管時計の製作方法がいくつもヒットするので、基本的にはそれを参考にすればニキシー管時計が製作できる。一方で、ただコピーするだけでなく個人的にこだわりたい点もたくさんあるので、インターネットの情報を参考にしつつ自分らしいニキシー管時計を設計することにした。個人的なこだわりポイントは以下の通り。

  1. なるべく古い技術で回路を設計する(ロジックICを中心とし、マイコンは使わない)
  2. ニキシー管はソケットタイプにする(寿命を迎えた時に交換ができる)
  3. 時刻調整はダイヤルで直感的に入力する(時刻設定でボタン連打をしたくない)
  4. 時報はメロディーICを使う(ノスタルジックなメロディーを時報にしたい)
  5. プリント基板とし、素子はDIPを使う(かっこいいアートワークにしたい)

これらのポイントを押さえつつ、世界にひとつだけの自己満足的なニキシー管時計を作りたい。

2. ニキシー管時計の仕様

上記のこだわりポイントを踏まえて、制作するニキシー管時計の仕様を決定した。以下がその仕様である。自分自身の勉強も兼ねているので、時計の仕組みがわかりやすいようになるべくシンプルな構成にした。

  1. 電源はコンセントからのAC100Vとする
  2. 時刻表示は「時時分分」の4桁とし、秒はドットの点滅で表現する。
  3. ニキシー管はソケットタイプを使用し簡単に交換が可能とする。
  4. 時刻は時・分に対応したツマミを回して調整する。
  5. 0時にメロディICで時報を鳴らす(ON/OFFの選択を可能とする)。

3. ニキシー管時計のブロック図

製作するニキシー管時計の回路構成をブロック図で示す。ニキシー管を駆動するためには200V近くの高電圧が必要となるため、AC100VをDC230Vまで昇圧してニキシー管に供給することとした。一方で時計の心臓部となる発振回路、カウンター回路は基本的に74HCシリーズのロジックICを使用することを前提に5Vを電源として供給することとした。

ニキシー管時計のブロック図

時計の駆動回路は大きく分けて、発振回路、60進カウンター回路、24進カウンター回路、アラーム回路ならびに時刻設定回路と発振回路を切り替えるマルチプレクサ回路から成る。まず発振回路で1/60Hzの信号を出力し、その信号を60進カウンターならびに24進カウンターで計量する。各カウンターに応じたBCD出力をニキシー管のドライブ回路に入力し、ニキシー管を駆動させる。

時刻調整はマルチプレクサ回路によりパルス信号を発振回路から時刻設定回路に切り替え、時・分に対応したロータリーエンコーダを使ってパルス信号を手動入力することで実現する。また、時報は0時0分の繰り上がりパルス信号で作動させる。なお、ブロック図には記載していないが、発振回路から1Hzの信号を取り出して秒表示のためのドットをネオン管で点滅させることとする。

4. プロトタイプ機

以下が試作したプロトタイプ機である。基本的に設計した回路はそれぞれブレッドボード上で動作させて動作確認を行っていたが、接点抵抗や寄生容量の影響などで動作が不安定になることが多かったため、最終的にはプリント基板で回路を試作して動作確認を行った。

動作中の様子と時刻設定回路の動作状況を動画で示す。マルチプレクサの切り替えで時刻設定モードとなり、時・分に対応したロータリーエンコーダを回して時刻設定ができることを確認した。切り替えの際にパルスが入って時刻がずれることがあるが、概ねうまく動作している。

秒のドット点滅はニキシー管と同じくロシア製のINS-1(ロシア文字ではИНС-1と書くらしい)を使用した。時刻設定中も点滅しているため、時刻設定中なのか計量中なのか判別がつかないため、本製作の際は点灯となるように回路を変更したい。

なお、0時0分の時報回路はこのプロトタイプに組み込んでいない。本製作では過去記事の「Melody IC SVM7960 Seriesの動作回路(2020.5.15)」にて別途動作を確認しているので、その回路を微調整した上で組み込む予定である。

以上、プロトタイプ機がほぼ問題なく動作確認することを確認したところである。次回からは本製作の進捗状況や設計した回路の解説などを連載記事として掲載していく予定である。

5. 参考文献

ニキシー管時計の製作にあたり、数々のサイトを参考にさせて頂いた。下記にそのサイトを記す。

i. ニキシー管時計に関する資料

  1. Peter H. Wendt, My Nixie Clock Project, http://ps-2.kev009.com/mcamafia/nixie/ncp_en/ncp.htm
  2. Mike Harrison, Mike’s Electric Stuff, http://www.electricstuff.co.uk/nixclock.html

ii. 発振・カウンターに関する資料

  1. 杉本靖, YS Design Studio Profile, 時間の基準 1秒=1Hzを作る。http://www5b.biglobe.ne.jp/~YASUSI/gallery/electronics/080301/080301.htm
  2. ゴロピカリ, ゴロピカ工房, デジタル時計 http://www9.wind.ne.jp/fujin/diy/denki/zatugaku/clock.htm
  3. Renesas Engineer School, マイコンの周辺回路 https://www.renesas.com/in/ja/support/engineer-school/mcu-02-peripheral-circuitry
  4. マルツセレクト, アップダウンカウンタの製作 基礎編 https://www.marutsu.co.jp/select/list/detail.php?id=149
  5. マルツセレクト, アップダウンカウンタの製作 設計編 https://www.marutsu.co.jp/select/list/detail.php?id=147
  6. マルツセレクト, アップダウンカウンタの製作 実験編 https://www.marutsu.co.jp/select/list/detail.php?id=148

iii. ロータリーエンコーダに関する資料

  1. long-yi’s homepage, 実験1:ロータリーエンコーダの動作波形 http://longyi.web.fc2.com/encoder.html
  2. tumblr, 74hc, https://74hc.tumblr.com/post/157186758140/decodes-the-rotary-encoder-to-updown-trigger
  3. しなぷすのハード製作記, 谷川寛, 「74HC74」の解説 https://synapse.kyoto/glossary/74hc74/page001.html

iv. 高電圧電源に関する資料

  1. 何でも実習生の実習日誌, トランスの背中合わせ接続で高圧電源を作りました https://blog.goo.ne.jp/kosakuzissyusei/e/e3527188944fc1c051d4c0d8021cba0d
  2. Peter H. Wendt, My Nixie Clock Project, http://ps-2.kev009.com/mcamafia/nixie/ncp_en/ncp.htm

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