我が家の書斎にある本棚の右側にちょうど30cm四方の隙間がある。飼っている出目金の水槽も成長するにつれて手狭になってきたため、巷でオシャレと噂の30cm「キューブ水槽」を導入することにした。
水槽の導入に際して必要なのは水槽台である。大手メーカーなどが30cm水槽にちょうど良い水槽台を各種発売しているが、いまいちしっくりこない。なんだろう、パネルで覆われているからかもしれない。私は割と無骨なデザインが好きなので、日曜大工よろしく、ワンバイ材やツーバイ材を使ってDIYで自作することにした。
1. 30cmキューブ水槽台の設計
上の図が製作する水槽台の寸法である。幅奥行きはぴったり30cmとし、高さは室内に統一感を持たせるために書斎のデスクと同じ72cmとした。素材はホームセンターで簡単に手に入るツーバイ材である2×2と、ワンバイ材の1×3を使用した。中段には餌などを置くことができる棚を備えた。
30cmキューブ水槽は満水の状態で30kgを超えるため、水槽を載せる面に十分な強度を確保することが肝要である。そこで、製作する水槽台では1×3材(部品③)を荷重に対して縦方向に配置し、十分な強度を発揮できるようにした。また、部品③に負荷された荷重が水槽台の柱(部品①)に十分伝達できるよう、部品①と③の継手は上記図のような形状とした。
2. 部材の準備
以下に必要な部材の一覧を示す。素材となるツーバイ材、ワンバイ材に加え、耐水目的で塗装するウレタン塗料とデザインのために塗装するステイン塗料をそれぞれ購入した。その他、木ネジ、釘を必要な分だけ購入した。塗料はそれぞれ200mlを購入したが、最終的に半分程度残ったため下記の半分で十分足りると思われる。
品物 | 寸法など | 数量 | 価格(概算) | 備考 |
SPF 2×2材 | 701mm | 4 | 1,000円 | |
SPF 1×3材 | 300mm | 8 | 300円 | |
SPF 1×3材 | 262mm | 8 | 300円 | |
さら木ネジ | φ4.5×38mm | 8 | 200円 | |
丸頭 真鍮釘 | #15×32mm | 16 | 200円 | |
水性ウレタン塗料 | 水性工芸うるし | 1 | 1,500円 | 200ml |
木材保護塗料 | 水系 A-1ブラック | 1 | 2,800円 | 200ml |
合計 | 6,300円くらい |
3. 木材の加工
ホームセンターで木材を購入し、切断サービスで図面通りの寸法にカットしてもらった。ワンバイ材が4枚しかないことに後日気がつき、追加で4枚分だけ再購入・加工してもらった。
まず、水槽台の柱となる部品①の頂部を加工する。加工には鑿(のみ)を使用した。
ノミの使い方はYouTubeなどの大工動画が非常に参考になる。まず墨から1~2mm離れた部分に軽くノミを入れる。
木目に合わせて割っていく。仕上がり寸法から1~2mmを残す。
仕上がりを残した状態までノミで削る。
仕上がりの墨まで丁寧に削る。
部材①の頂部の加工が完了した。これと同様の加工を残り3本にも施す。
頂部に部品③が乗る部分の加工が完了した。右が最初に加工した部材、左が最後に加工した部材である。加工を進めるにつれてコツが分かってきたので徐々に仕上がりが綺麗になっている。
写真撮影を忘れていたが、餌などを載せる中段の棚の部分にも同様の加工を行う。
加工が完了した部材の写真を示す。部品③(8枚)は継手を組むため端部にそれぞれ切り欠きを加工する。また、中段の棚の部品②は左右の2枚が部品①と干渉するため、柱の分だけ切り欠きを加工した。
4. 棚板の塗装
部品②は水槽や餌を置くための棚となるため、保護の目的でウレタン塗料を塗布することにした。部材は塗料を塗る前に400番の紙やすりで表面を処理した。
ウレタン塗料は薄くまんべんなく塗布し、規定の乾燥時間(4時間)乾燥させたのち、重ね塗りを施した。
合計3回の重ね塗りを行なって乾燥した後の部材表面がこちら。とても安価なワンバイ材とは思えない光沢と手触りである。この部材を棚板とする。
5. 組み立て
仮組みした状態がこちら。最終的な組み上がりはこのようになる。
仮組みを撮影した画像に、塗装後の色を合成してみた。雑ではあるが、およその色合いがこれでイメージできる。
まずは部品③を井形に組み立てする。組み手となる部分はまず木工ボンドで固定し、最終的に木ネジで固定する。
固定にはコーナークランプを使用し、部材が直角になるように固定した。コーナークランプを使うと使わないでは仕上がりに雲泥の差が出るので必ず使用したい。
家にはコーナー クランプが1個しかないため、この状態で一晩放置して接着剤が固まるのを待つ。この作業を部品③全てに行って、井形の部品を2個作成する。
接着した部品③を部品①に固定する。部品①の溝の部分に接着剤を塗布し、そこに部品③を固定する。
この際も同様にコーナー クランプを使って、部品①と部品③が直角となるように固定する。さすがにコーナー クランプが1個だと作業性が悪かったため、ホームセンターでもう1個コーナー クランプを購入した。
ボンドで組み上がったのち、完全に乾燥させてから部材③と部材①を木ねじで固定する。木ねじを打ち込む際はあらかじめ下穴を開けて木材が割れないように十分注意しながら固定した。
水槽が乗る上の棚の部品③のみ木ねじで固定した。中段の棚は大きな荷重が掛からないため、木ねじは省略。
設計図にはなかったが、家具用の足がいくつか余っていたので部品①の底面に取り付けることにした。以前、本棚を作った時にAmazonで買った余りである。
部品①の足の底面中央に穴を開ける。
ナット側をハンマーで叩いて固定する。
足を取り付ける。ネジになっているので、これで水平の微調整が可能となる。
6. 全体の塗装
塗装後のイメージの通り、部品③と部品①をオイルステイン(ブラック)で塗装する。塗装する際にはさきほど取り付けた足は一旦外した。
(ベランダを汚さないように)どんどん塗っていく。
必要に応じて重ね塗りを行えば良いと思うが、1回塗りでほぼ色合いが出たので塗装完了とした。ハケでは塗りきれなかった角の部分などは爪楊枝などで丁寧に塗装した。
塗り終わって乾燥した躯体部分。いい感じである。これに棚板を取り付けて完成となる。
上棚、中棚に棚板を取り付ける。好みがあると思うが、私は真鍮釘が好きなので上記のように固定した。棚板が割れるとヘコむので、あらかじめ釘の直径よりもわずかに小さい下穴を開けて打ち付けた。
以上で組み立てが完了し、30cmキューブ水槽用の水槽台が完成した。この状態で筆者(体重約65kg)が上に乗ってその耐久性をあらかじめ確認したが、軋みなどなく、問題なく水槽が乗せられると判断した。
7. その他の加工
水槽台にはエアレーション用のエアポンプとACタップが固定できるように、部品③の裏側の目立たない部分に吊り金具(洋灯折れ釘)を取り付けた。
8. 完成
30cmキューブ水槽用の水槽台が完成した。完成した水槽台を書斎に設置した様子を示す。扉と本棚の間にあった30cm四方の隙間にジャストフィットする水槽台が完成した。
最近、関東では地震が多い。この水槽台は横幅に対して高さが非常に高く、地震が起こった際に倒れる可能性が高い。そこで、足裏には摺動性の良いシールを貼って万が一地震が起きても水槽と水槽台が床面を滑ることで転倒の防止を図った。効果の程はまだわからない・・・。
ちなみに今回使用した30cmキューブ水槽はこちら。グラスアクア CR3030である。最寄りのホームセンターで購入。前面の角がラウンド加工になっており、継ぎ目がない分非常にクリアな水槽が楽しめる。
9. 総括と反省
30cmキューブ水槽用の水槽台を自作した。水槽は重さが数十kgにも及ぶため十分な強度の確保が課題であったが、ツーバイ材やワンバイ材の配置を工夫することで筆者(約65kg)が上に乗ってもびくともしない十分な強度を持つ水槽台が完成した。また、外寸を30cm四方に収めたことで水槽の外寸とぴったり一致し、見た目もスッキリしたシンプルな水槽台となった。
だたひとつ、反省点を挙げるとすれば、水槽を設置したことで扉の左側にあった部屋の電灯スイッチが押せなくなったことだろう。水槽の高さを誤算していた・・・。今後は、スイッチで電灯をつける現在の方式から、リモコンでON/OFFするシーリングライトに買い替えを検討したい。(希望)
部屋のスイッチが押せなくなったが、うちのデメちゃんも嬉しそうなので良しとする。