YASHICA 35 minister F2.8 ハーフミラー修理

緒言

令和2年の冬、妻がフィルムカメラに興味を持ち始めた。フィルムカメラで撮るとインスタやLINEカメラでエフェクトを付けたようなお洒落な写真が撮れるのではないか、とのことだ。確かに、数年前のニュースでインスタントカメラが10代の若者に受けているというのを聞いたことがある。写真の風合いや、現像・プリントするまでどんな写真が撮れているか分からないことも人気の秘密と言っていた。私は高校くらいまでフィルムカメラを使って写真を撮っていたので、ニュースや妻の話を聞いたときは特段の目新しさは感じていなかったが、ここ20年はデジタルカメラしか使っていなかったので、確かに、今の時代にフィルムカメラも面白いかもな、と思い中古のフィルムカメラを買うことにした。

買ったカメラはYASHICA 35 minister F2.8である。今から60年くらい前のカメラらしい。千葉港のハードオフでたしか2,000円くらいだった。このカメラを選んだ理由は特になく、いくつかある中古カメラのうち、妻が見た目でチョイスした。シャッターや露出計、絞りなど機械系は動作に問題なかったが(後から考えるとすごい!)、レンジファインダーカメラ特有の「二重像合致式」の光学系がダメになっていた。具体的にはカビやハーフミラー の経年劣化で二重像がほとんど見えず、妻もフォーカス合わせに苦労していて、ピンボケ写真を量産してしまっていた。

そこで、きちんとフォーカス合わせができるように、YASHICA 35 minister F2.8のレンジファインダーの光学系を修理したのでその記録を記す。

参考記事

インターネットで調べたところ、同じカメラのレンジファインダーの光学系修理についていくつか修理方法が書かれていたので大いに参考にさせて頂いた。皆様ありがとうございます。

  1. いこんた日記, 2007.2 https://ikontablo.exblog.jp/i13/
  2. みんカラ日記, !ビアンキ!, YASHICA minister分解, 2007.6.22 https://minkara.carview.co.jp/userid/155344/blog/5299892/
  3. むにゃむにゃ日記, YASHICA minister 修理記, 2009.5.25, https://cobolhouse.exblog.jp/11153355/
  4. どりまきの走る実験室, YASHICA M 修理記録, http://e-set.life.coocan.jp/camera/YASHICA_M.htm
  5. foto-poohのブログ 写真と模型を愛する人へ, YASHICA MINISTER ヤシカ, 2021.1.1 https://ameblo.jp/foto-pooh/entry-12647571911.html

準備

基本的にマイナスドライバーがあれば必要な部分まで分解できるが、フィルム巻き上げレバーはピンレンチやピンスパナなど特殊な工具を使って外した方が良さそうだ。後述するが、今回は工具も自作して対応した。

品物型番数量およその価格備考
カビキラー1本約300円光学系のカビ取りに使用
ハーフミラー 1枚約1,000~2,000円サイズ16mm×28.5mm以上
アクリルガッシュ(黒)1本約500円フレームマスクの補修に使用
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そのほか、光学系のカビ取りにカビキラーとマスク補修にアクリルガッシュを使用。最も入手が難しいのはハーフミラーである。私はヤフオクで光学系に使えそうなジャンクのハーフミラーを1,000円で入手することができたのでそれを使用した。自動車の窓に貼るハーフミラーフィルムでも代用できるようだが、フィルムの厚みがあるので光学性能はガラス蒸着のハーフミラーに劣るのではないかと思う。

修理

上の写真はカメラの外観写真。修理はカメラの「軍艦部」を分解、清掃、再組み立ての順で行った。以下にその手順を記載する。

その1 軍艦部の分解

まず最初にフィルム巻き上げレバーのネジを外す。特殊ネジなので専用の工具が必要。

家具組み立て用の使い捨て?レンチの柄の部分にφ1.0mmmのワイヤを埋め込み、専用の工具を作った。

2箇所の穴に入れてゆっくり反時計回りに回す。

ネジとダイヤル、スプリング、ワッシャーを外す。

左右のマイナスネジを外すと、軍艦部を覆うカバーが外れる。修理するハーフミラーは左側の黒い紙の下。

接着剤で固定された黒い紙を丁寧に剥がすと、今回交換するハーフミラー が見えてきた。

ハーフミラー は接着剤で固定されているので、筐体側を傷つけないように丁寧に取り外す。

ハーフミラーを取り外した後の光学系。

取り外したハーフミラー。寸法はおよそ16mm×28.5mm。置き換えるハーフミラーもこのサイズに調整する必要がある。

取り外したハーフミラーは目で見てわかるほど蒸着膜が劣化している。60年という年月を感じる。

その2 ハーフミラーの準備

右が準備したハーフミラー。このままだと大きいので、ガラスカッターで元と同じサイズにカット。

カットした新しいハーフミラー。少し欠けてしまったけど、影響のない部分なので問題なし。

新しいハーフミラーを上の手順と逆の手順で取り付けて交換完了(写真撮り忘れです。すみません)

その3 二重像の位置調整

新しいハーフミラーは元のミラーと位置が微妙に変わってしまうので、二重像の上下左右位置調整が必要となる。フォーカスレンズを無限遠の状態にしたまま、ファインダー内の二重像が合致するように以下の2つのネジ回して調整する。

左右方向を調整するネジ。

上下方向を調整するネジ。

その4 光学系のカビ取り・マスク補修

軍艦部全面にあるブライトフレームのマスク。カビがあるので除去する。

カビキラーを染み込ませたティッシュペーパーをカビに貼り付けて30分ほど放置する。

カビ除去後のブライトフレームのマスク。カビがきれいに除去された。

裏側のマスクが一部剥がれているが、アクリルガッシュでタッチアップして補修した。

二重像が反射する45度のミラーもカビがあったので同様に除去した。

ブライトフレームが反射する45度のミラーのカビも同様に除去。

ミラーとレンズすべてのカビを除去。清掃前と清掃後の光学系を下の写真に示す。

清掃前                       清掃後

その5 組立て・修理完了

YASHICA 35 minister F2.8 ハーフミラーの修理

全てのパーツを元通り組み上げて、修理完了。

その6 修理前後の比較

レンジファインダーを覗いた様子がこちらの写真。わかりやすいように修理前後の写真を掲載する。レンズ内のカビによる像のぼやけがなくなり、ブライトフレームがはっきり見えるようになった。二重像もはっきり見えて、以前に比べると確実にピント合わせができるようになった。

修理前                       修理後
YASHICA 35 minister F2.8のレンジファインダー内の二重像

総括と反省

レンジファインダーの二重像が見えなかったYASHICA 35 minister F2.8を修理した結果、二重像がはっきり見えるようになり、確実にフォーカス合わせができるようになった。撮影用レンズにはカビ等見られず状態良好だったため、これで修理完了とした。

さっそく、修理したカメラを妻に返して使用感を聞いてみたところ、合わせられなくはないが、暗い場面やコントラストが低い場合は二重像が見えにくくてやはりピントが合わせにくい、という感想だった。二重像合致式のレンジファインダーカメラは私も初経験だったので元々そういうものなのかもしれない。ひょっとしたらハーフミラーがもっとビビッドな色だったら合わせやすいかも。

レンズが開放F値は2.8なので全開放で撮影するときはピント合わせが非常にシビアだが、多少ピントズレしていた方がアナログカメラで撮ったフィルム写真感があってとてもよい雰囲気になると思う。

下は修理したYASHICA 35 minister F2.8を持って箱根に行った時に撮った写真である。妻撮影。いい写真だ。

箱根園水族園の大水槽(YASHICA 35 minister F2.8 / Kodak GOLD 200)

付録 / Appendix

古いカメラのマニュアル(英語)が下記のサイトで公開されている。YASHICA 35 minister F2.8のマニュアルもあった修理に使うことはなかったが、操作方法などは参考になると思われる。

Camera Manual Library,  https://www.butkus.org/chinon/

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